北欧スタイルとは、自然をモチーフに洗練されたシンプルで飽きの来ないスタイルが特徴
「かもめ食堂」という映画をご存じでしょうか?フィンランドのインテリアやファブリックがふんだんに紹介され、有名な食器工場や市場、現地の人の暮らしぶりが紹介された映画は、日本に一大北欧ブームをもたらしました。
上映から15年以上経つ現在でも北欧の人気は衰えることを知りません。
日本人を魅了してやまない北欧の魅力を北欧アンティークから見てみようと思います。
長い寒い冬を過ごすための知恵「北欧のヒュッゲとインテリア」
北欧の冬は長く厳しいものです。例えばデンマークの冬至での日照時間は、約6~7時間、有名なサンタクロース村のあるフィンランドのロヴァニエミでは、約2時間という日もあります。
北欧のデンマークでは、ヒュッゲという価値観やマインドを大切にし、家族や親しい友人とのくつろぎ、リラックス、癒しの時間を重要なものととらえています。
家で過ごす時間が長い北欧の人々にとって、インテリアに気を使うのはとても大切なことなのでしょうね。
ヒュッゲに居心地のいい空間つくりは欠かせない
ヒュッゲには、フィーカと呼ばれる「ちょっとしたお茶会の時間」が欠かせません。お菓子やお茶を用意して、気心の知れた友人や家族、時には一人の時間を楽しみます。
座り心地のいいソファや椅子、華やかなカーテンやクロス類、温かみのある照明にキャンドル。
揺らめく炎を眺めるだけで、緊張して疲れた心がほっとほどけていくでしょう。
温かみのあるシンプルな木の家具が北欧アンティークの特徴
19世紀後半より、北欧諸国は先進的なデザインの家具を作りだし、世界中で注目を浴びるようになりました。
北欧の家具は、人間工学に基いた長く愛用できる使い心地と、シンプルで洗練された意匠が特徴です。
制作されたのは主に1950~70年代、正確にはヴィンテージと言われています。どこか懐かしい雰囲気があるのは、親の世代で使われていたからなのかもしれません。
使い込まれた跡や経年による飴色に変化した木の色。長い年月を経ないと出会えない色合いを購入時から楽しめるのがアンティークの良さと言えますね。
北欧と日本の暮らし方には共通点が多い
代々受け継ぐ家具や食器をメンテナンスしながら大切に使う北欧の国は、どこか日本と共通点がありませんか?
質素な暮らしを好み、飽きずに長く使える家具を愛用する北欧の人々。
日本のお寺や茶室に代表される「わび・さび」のシンプルな空間や割れた食器を再生する「金継ぎ」という手法は、あるものを大事にする北欧と似たところがありますね。
北欧を代表するデザイナーとブランド
北欧インテリアを作るのに欠かせない、代表的なデザイナー5人と食器ブランド4社を紹介します。どれも現在でも新鮮な感じのする品ばかりです。
北欧を代表するデザイナー5人
アルネ・ヤコブセン(1902~1971)
北欧モダニズムの巨匠といわれる有名なデザイナー。アントチェアやスワンチェアに代表される独特な曲線の椅子は、ミッドセンチュリースタイルともよく合う。
代表作
- アントチェア
- スワンチェア
- セブンチェア
- ウォールクロック
- バンカーズ
コーア・クリント(1888~1954)
家具デザインの父といわれ、門下生の一人にはボーエ・モーエンセンがいる。人間工学を確立。デンマーク王立大学、建築学科、家具コースの初代責任者。
代表作
- ファーボーチェア
- サファリチェア
- デッキチェア
ボーエ・モーエンセン(1914~1972)
アルネ・ヤコブセン、ハンス・J・ヴェグナーと並ぶデンマーク近代家具デザインの代表的人物のひとり。
代表作
- J39
- スパニッシュチェア
- ハンティングチェア
ハンス・J・ヴェグナー(1914~2007)
椅子の巨匠とも呼ばれる。生涯でデザインした椅子の数はなんと500脚!カール・ハンセン&サンと協働し、あまりに有名なYチェアを制作した。ニューヨークMOMA美術館に収蔵されている。
代表作
- CH24(Yチェア)
- ピーコックチェア
フィン・ユール(1912~1989)
デンマークの近代家具デザインの代表的人物の一人。彫刻作品のようなうっとりする曲線を持つ家具が特徴で、世界で最も美しい肘を持つ椅子といわれるNo.45は必見。
代表作
- No.53 Easy Chairペリカンチェア
- No.45(世界で最も美しい肘を持つ椅子)
北欧を代表する食器ブランド4社
北欧インテリアに欠かせない食器ブランドを4社紹介します。現在も生産を続けているところ、統合されて消えてしまったところなどあります。
北欧アンティークの食器は、現在のラインと比べるとどこかほっとする色合いのものがあります。デザインは北欧らしく、草花や木を極限までシンプルに意匠したものが多いです。
グスタフスベリ
スウェーデンを代表する老舗食器メーカー。シンプルで精密なデザインの磁器を好むファンも多い。
ロールストランド
以前はスウェーデンの老舗メーカー。現在はフィンランドのイッタラに統合。ノーベル賞授賞式後の晩餐会で使用される食器としても有名。
ホガナス・ケラミック
地元で採れる良質な土で作られるストーンウェアが魅力のメーカー。ぼってりとした厚みがありどこかほっとする懐かしいデザイン。
アラビア
いわずと知れた北欧を代表する有名食器メーカー。シンプル大胆なデザインながら、不思議と食卓で違和感なく愛用できるのが魅力。
まとめ
いかがでしたか?シンプルでモダンなのに、どこかほっとする雰囲気を持ち合わせている北欧アンティーク。
厳しい自然の中で暮らすからこそ、日常のひと時を大切にする北欧の人たちの生活は、追われるような日常を過ごす私たちには羨ましく思えます。そんな北欧の日々を椅子一脚、カップ一つから取り入れてみませんか?北欧のアンティークと過ごす日常は、いつもよりゆっくりと流れていきそうです。