こんにちは。初めまして。
専業でライターとして活動している、紡木むぎと申します。
この度素敵なご縁がありまして、こちらの記事を執筆させていただけることになりました。
今回は「世界にひとつしかないもの」として、祖母が編んだ「あみぐるみ」を紹介していきます。
このあみぐるみは、私が大切に大切にし、それこそ世界に一羽しかいないうさぎをモチーフとしています。
あみぐるみを編んでもらうに至った経緯や、このあみぐるみによる私の感情の変化などを僭越ながらご紹介させていただきます。
ぜひ、最後までお付き合いいただけますと幸いです。
手芸が大好きで得意な母方の祖母
編み物はもちろん、裁縫やビーズ、絵手紙など手芸や創作が大好きな母方の祖母。
私の周りには、幼少期からそんな祖母の手作りグッズがたくさんありました。
お正月には手作りのポチ袋にお年玉を入れ、誕生日には手編みのマフラーやビーズのアクセサリーをプレゼントしてくれる、そんな祖母です。しかも既製品と相違のないクオリティ。
私たち親戚だけでなく、近所のお母さんたちにも子供の帽子や手袋などの作成を頼まれるような、自慢の祖母です。
「このマフラー、むぎちゃんのおばあちゃんに作ってもらったのよ」と、ちょっとおませな近所の女の子に言われたりすると、とても嬉しい気持ちになります。
ちなみに祖母の反動か、なぜか私や母は全く手芸のセンスがないので、祖母の作品を見るたびに感動しています(笑)。
突然訪れた愛兎との別れ
さて、今回紹介したいのが上のあみぐるみです。
私は昔からうさぎを飼うのが夢で、ある年の春に念願の茶色い、小さな小さな命をお迎えしました。
それからというもの、毎日がうさぎを中心とした生活となり、そんな愛兎は私には欠かせない大切な存在となりました。
しかし、そんな日々も束の間。
夏を迎える前に愛兎が急死してしまったのです。
私は何日も泣き、途方に暮れ、ご飯も食べられず、ただただ呆然と日々を過ごしました。
取っておいたふわふわの毛
私はげっそりと痩せ、家の外にも出られず、何日も何週間も遺骨の入った小さな骨壺を見ては泣き暮らしていましたが、そんなときにある存在を思い出しました。
生前より、グルーミングのときに抜けた愛兎の毛を入れていた、缶の存在です。
缶を開けると、ふわりと愛兎の存在が私を包み、さらに涙が溢れました。亡きがらとなって家に帰ってきたときも、身体は冷たくても毛はふわふわのままなのだな、と思ったことも思い出しました。
また、全体としてみると濃い茶色なのですが、抜けた毛はグレーや薄い茶色、白に近いものまでいろいろな色があり、これらが混じってあの子の毛の色を構成していました。
それこそ唯一無二の、世界に一羽のうさぎです。そんなことを思うと、ますます涙が止まりません。
寂しくて、悲しくて。けれど、それと同時にこうも思ったのです。
「私はこの子のためにも前を向かなければいけない」
そこで、集めていたふわふわの毛を中綿と一緒に詰めたあみぐるみの作成を祖母にお願いしたのです。
いつか顔をつけられる日まで
私からの電話を受けた祖母は、会ったことのない愛兎のために涙を流し、あみぐるみの作成を快諾してくれました。
そして、ものの1週間ほどで、このあみぐるみを仕上げてくれたのです。
私が送った画像を元に、なんと編み図もなく仕上げたというので驚くばかりです。チャームポイントのおなかの白い毛や、真ん丸の尻尾も余すところなく再現されています。
届いてすぐに私はあみぐるみを抱きしめて少し泣き、そしておなかのあたりにふわふわの毛を詰めました。
抱きしめたとき、その大きさまでほとんど同じなことに驚きました。
さて、お気づきかと思いますが、このあみぐるみにはまだ顔がありません。あえて、そのように頼んだのです。
今は正直、愛兎がくれたきらきらとした日々よりも、これからあったはずの日々や、ふとした瞬間の寂しさの割合が多いです。
ただ、きっと今顔をつけたら、そんな私の内面が反映されて寂し気な表情になってしまうと思いました。
なのでいつかもっと、私が涙を流すよりも、かわいい姿を思い出して笑う回数が多くなったときに、自分で顔をつけようと決めています。
それまではもう少し、このままで私のことを見守っていてほしいと思っています。
天国に行ってしまっても心はずっとそばに
以上が私にとって「世界にひとつしかないもの」についてのお話です。
同じようにペットロスに苦しんだことがある方、もちろんそうでない方にも、このエピソードとあみぐるみの存在が届いてくれていると嬉しいです。
いつかあみぐるみに顔をつける日が来たら、ますます唯一無二の、それこそ「宇宙にひとつしかないもの」になるのだと思います。
ここまでお読みいただき、感謝いたします。
あなたにとっての「世界にひとつしかないもの」は何ですか?