旅先ではその地方ならではの伝統工芸品に巡り会うものです。楽しい思い出としてお土産にするのも素敵なこと。そこでこの記事では日本の伝統工芸品についてご紹介しています。どれも素晴らしいものばかりですから目移りしてしまうかもしれません。どうぞ最後までお楽しみください。
日本の伝統工芸品を10点ご紹介
伝統工芸品について経済産業省は次のように規定しています。
・主として日常生活の用に供されるもの
・その製造過程の主要部分が手工業的
・伝統的な技術又は技法により製造されるもの
・伝統的に使用されてきた原材料が主たる原材料として用いられ、製造されるもの
・一定の地域において少なくない数の者がその製造を行い、又はその製造に従事しているもの上記5つの項目を全て満たし、伝統的工芸品産業の振興に関する法律(昭和49年法律第57号、以下「伝産法」という)に基づく経済産業大臣の指定を受けた工芸品のことをいいます。
引用元:経済産業省
2021年1月の時点で指定されている伝統工芸品は236品目です。この中からとりわけ人気の高い10点をピックアップしてご紹介しましょう。
南部鉄器
南部鉄器(なんぶてっき)とは岩手県南部鉄器協同組合連合会の加盟業者によって作られている鉄器のことを指します。74の事業所に約730名の従事者がおり年間生産額は約92億円となっています。ただし伝統工芸士は21名しかいません。
歴史は古く平安後期まで遡るとされています。製造される鉄器の種類は鉄瓶や鍋、風鈴や燭台、フライパンなどですが最も人気が高いのは鉄瓶です。
有田焼
有田焼(ありたやき)とは佐賀県有田町を中心に焼かれる磁器のことを指します。その積み出しが伊万里港からなされていたことにより「伊万里(いまり)」や伊万里焼とも呼ばれます。
泉山陶石や天草陶石などを原料としていますが磁器の種類によって使い分けています。江戸時代後期に各地で磁器生産が始まるまで、有田は日本国内で唯一、長期にわたって磁器の生産を続けていました。皿や壺、湯呑茶碗などが定番の商品となっています。
江戸切子
江戸切子(えどきりこ)とは江戸時代末期から東京都において生産されているガラス細工のことを指します。東京都指定伝統工芸品および経済産業大臣指定伝統的工芸品となっています。
現在では色被せガラスを素材に用いたものが切子らしいイメージとして捉えられており数多く生産されています。お猪口などが定番の商品として知られています。
信楽焼
信楽焼(しがらきやき)とは滋賀県甲賀市信楽を中心に作られる陶器のことを指します。日本六古窯のひとつに数えられています。一般には狸の置物が著名ですが実際には多様な陶器が生産されています。
時代は古く鎌倉時代後期にまで遡ります。狸の置物のほかに壺や花生けなども人気があります。
熊野筆
熊野筆(くまのふで)とは広島県安芸郡熊野町で生産されている筆のことを指します。産地組合である熊野筆事業協同組合が管理する団体商標になっています。
「筆の都」と称する日本最大の生産地で愛知県豊橋筆・奈良県奈良筆・広島県川尻筆とともに日本四大産地を形成しています。特に化粧筆が有名で日本のみならず世界中のメイクアップアーティスト達から高い評価を得ています。
輪島塗
輪島塗(わじまぬり)とは石川県輪島市で生産される漆器のことを指します。特色は木地に生漆と米糊を混ぜたもので布を貼って補強すること。生漆と米糊、そして焼成珪藻土を混ぜた下地を何層にも厚く施した「丈夫さ」に重きをおいて作られている漆器です。
輪島での漆器の生産は古くまで遡ると考えられています。同じ能登半島の三引遺跡(七尾市)からは6800年前の漆製品が発見されており、輪島では平安時代の遺構である屋谷B遺跡で漆製品が発掘されているからです。
多様な漆器が作られており正月や結納など祝いの席には欠かせない脇役となっています。
萩焼
萩焼(はぎやき)とは山口県萩市一帯で焼かれる陶器のことを指します。一部長門市や山口市にも窯元があり長門市で焼かれる萩焼は特に深川萩(ふかわはぎ)と呼ばれます。
古くから「一楽二萩三唐津」と謳われるほど、茶人好みの器を焼いてきたことで知られる焼き物です。萩焼の特徴は原料に用いられる陶土とそれに混ぜる釉薬の具合によって生じる「貫入」と、使い込むことによって生じる「七化け」といわれています。
その歴史は慶長9年(1604年)まで遡ります。
西陣織
西陣織(にしじんおり)とは京都府の先染め織物をまとめた呼び名のことを指します。 錦、緞子、朱珍、絣、紬などの多彩な糸を用いた先染めによる高級絹織物として知られています。
「西陣」及び「西陣織」は「西陣織工業組合」の登録商標となっています。西陣織の起源は5~6世紀にかけて豪族の秦氏が行っていた養蚕と織物とされています。和装の帯が有名ですがとても高価なことでも知られています。
常滑焼
常滑焼(とこなめやき)とは愛知県常滑市を中心にその周辺を含む知多半島内で焼かれる炻器のことを指します。日本六古窯の一つに数えられています。平安時代末期(12世紀前半)に形成された知多半島古窯跡群を母体としています。
壺が有名ですが使いやすい日用品も数多く生産しています。
甲州印伝
甲州印伝(こうしゅういんでん)とは山梨県の鹿革を原料とした伝統工芸品のことを指します。漆で紋様を付けることを特徴としています。寛永年間にインド(印度)から伝来した装飾革に刺激を受け、国産化されたものも印伝と呼ぶようになります。
ほかの産地では失伝したとみられており、製法が現存するのは甲州印伝のみとなっています。現在では財布や名刺入れが人気となっています。
まとめ
以上、日本の伝統工芸品の中からとりわけ人気の高い10点をご紹介しました。西陣織の帯は高価ですが小物などは手に取りやすい価格です。ほかの伝統工芸品も普段遣いしやすいものばかりですから取り寄せてみるのもおすすめです。