鹿児島のおすすめ伝統工芸品

鹿児島伝統工芸品の特徴

九州の南部に位置する鹿児島県は、江戸時代の鎖国時代には国内で数少ない外国貿易港があった地域です。当時は薩摩藩という名前で呼ばれており、現在の鹿児島県薩摩市に貿易港がありました。海外との交流が盛んであったことから、現在でも受け継がれている伝統工芸品には各国の特徴を反映したものが多く存在します。

たとえば「薩摩切子」というガラス細工の場合、寛永年間にオランダから伝わった技法によって作られるようになりました。その特徴としては、細かく砕いた珪石の中に赤や黄色などの色素を含めて溶かしていき、さらに空気を含ませて風船のようにふくらませて作ります。これはオランダのビードロという工芸品とまったく同じ技法を用いているのが特徴です。

「種子島刃物」というものの場合、元禄年間にスペインから伝わった精錬技法を用いています。当時の日本の刀鍛冶だと鉄を高温で熱してから、強く鍛錬をするものでした。ところが種子島刃物は鍛錬ではなく研磨をして刃を形成していくものです。この場合もスペインから伝わったグラインダーという道具を活用しており、明治時代には刃物作りの基本となって全国に伝わることとなりました。

鹿児島の伝統工芸品は2021年の時点で計6品目存在しています。このうち4品目が江戸時代に欧州から伝わった技術で作られているもので、純粋に鹿児島県の地域で生み出されたものは2品目のみです。

「大島紬」「屋久杉木工細工」がそれにあたり、大島紬の場合は有形文化財として製品だけでなく製法も文部科学省の指定を受けました。
大島紬は奄美大島で1400年代初頭から作られるようになった織物で、天然素材であるヨシの茎を用いて織られているものです。濃紺色に染め上げられ、生地全体が縞模様をしているのが特徴ですが、これは藍の葉で4回染め直しをおこなっていることから表現できる色です。
屋久杉木工細工は屋久島で800年頃から地元の方々の間で作られてきた工芸品で、世界遺産に登録をされた屋久杉を用いているのがポイントとなる品です。現在は工芸品を作るための杉は植林をされたもののみしか使用をしておらず、年間約2トンまでの伐採しか許可をされていないため非常に高級な品となりました。

鹿児島おすすめ伝統工芸品トップ5

鹿児島でおすすめの伝統工芸品を5つ、ここでピックアップをしていきましょう。
その5つとは、「薩摩切子」「大島紬」「薩摩焼」「屋久杉木工細工」そして「種子島刃物」です。

まず「薩摩切子」は鹿児島を代表する伝統工芸品である一方で、日本で初めて製作されるようになったガラス細工という側面もあります。寛永年間に薩摩港に入港したオランダ商船によって伝わった品で、幾何学模様を表面に描いているのが特徴です。現在でも県内に4つの工房があり、伝統工芸師の資格を有している方々が1点ずつ製作をしています。ウイスキー用のロックグラスのほかビードロという音を奏でる工芸品などお土産としても高い人気を集めているものです。

「大島紬」は本土から南へ50km離れた位置にある奄美諸島で作られている工芸品です。一般的な着物とは異なり、奄美諸島で自生しているヨシという植物の繊維を織って作られています。さらに藍で4回染め上げた製品となるので、濃い紺色の生地で通気性に長けた特徴を持つ着物です。奄美大島では現地の方々も愛用をされており、昨今では若い世代の間で和装が流行っていることからネット通販などでも購入できるようになりました。女性が自宅などで機織りを使って製作をされており、大量生産はなされていません

「薩摩焼」は元禄年間に薩摩藩によって奨励された工芸品で、佐賀県の唐津焼・有田焼と並んで三大窯元と称されているものです。薩摩焼の特徴は白地の釉薬と濃い藍色の模様を描いた焼き物で、当時は明やポルトガル・オランダに輸出をするための製作をされていた地場産業のひとつでした。現在では鹿児島県の伝統工芸品に指定をされていて、県内にある2件の窯元で大皿や小鉢などを作っています。土産物で販売をされているほか、観光客向けの制作体験も実施をしており、ご自身の手で直接伝統工芸品を生み出すことも可能です。

「屋久杉木工細工」は前述したとおり、屋久島で800年頃から地元の方々の間で作られてきた工芸品で、世界遺産に登録をされた屋久杉を用いているのがポイントとなる品です。

「種子島刃物」は種子島の伝統工芸であり、日本初の研磨技術を駆使して刃を生み出した品となります。ポルトガルから伝わった研磨技術を現在も駆使して職人が1本ずつ作っており、鉄だけでなく銅も含ませた化合物で作るのがポイントです。

これらの5つが鹿児島でおすすめの工芸品で、訪れた際はお土産で購入したい逸品たちです。

まとめ

鹿児島県は、江戸時代から明治にかけて国内で数少ない諸外国と繋がっていた地域です。国内の地域のなかで伝統工芸品の品目が非常に多いのが特徴ですが、それらの大半が外国から伝わった素材・技法で生み出されたものが多いのも特徴となります。現在も伝統工芸師の資格を有した方々が当時と同じスタイルで作品を生み出しており、訪れた方々のお土産としても選ばれる品が多くなっています。各工芸品は異文化から生まれたものでありつつ、独自の発展を遂げて現在に伝わっていることもわかるでしょう。

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