鳥取砂丘や二十世紀梨など、魅力的なスポット、名産品が多い鳥取県。
しかし、鳥取砂丘、二十世紀梨以外にも魅力的なものは多いです。
その中でも、注目していただきたいのが、鳥取が誇る窯元、国造焼です。
国造焼は鳥取県倉吉市の伝統ある窯元。
今回は鳥取県が誇る国造焼の歴史と特徴をご紹介します。
鳥取が誇る窯元・国造焼の歴史
国造焼4代目の山本佳靖さんの祖父母が、鳥取県倉吉市の不入岡(ふにおか)、上神(かずわ)の陶土が焼き物に適していると考えたのが、国造焼のはじまりです。
その後この地に移住し、1890年に開窯。そして、1975年に初代の秀治さんによって創始されました。
現在は、4代目山本佳靖さんとご家族によって、国造焼の歴史が紡がれています。
国造焼の特徴と技法
国造焼と一口に言っても、作品の種類、バリエーションは様々。
そこで、国造焼の特徴と技法を確認し、製品を深掘りしていきます。
どのような技法があるのでしょうか。
貫入
国造焼の特徴の一つとして挙げられるのは、「貫入(かんにゅう)」です。
貫入とは、釉のひび模様を指します。
これは、器を焼成した後の冷却時に発生するひび模様です。
(ちなみに貫入が発生する際、心地よいピンピンという音が鳴ります)
一見すると、ひび割れのように思われますが、決して器に傷が入ったわけではありません。
製作の段階でも貫入が発生しますが、使い込むことでも貫入が発生します。
時の流れとともに、風合いの変化も楽しめることでしょう。
また、貫入とひび割れの違いとしては、触れたときの引っ掛かりがあるかどうかです。
他にも、裏と表の両面に筋が入っている場合も、ひび割れになります。
器が破損する可能性もありますので、その際は使用を控えましょう。
飛鉋
ロクロによって回転している器の表面に、「鉋(かんな)」を当てます。
そして、ロクロの回転を利用し、模様を刻み込みます。
この技法のことを「飛鉋(とびかんな)」といいます。
焼締め
「焼締め(やきしめ)」とは、陶磁器の表面にかける薬品である「釉薬(ゆうやく)」を用いない技法のことです。
3代目である山本浩彩さんの壺などは、焼締めの技法が用いられています。
焼締めの技法によって作られた壺の表面は、滑らかで美しく、卵の表面を見ているかのようで、見る人を魅了します。
国造焼の作品
前述のように、国造焼の種類、バリエーションは豊富です。
そして、製作者によって、作品の色が異なります。
製作者別に作品を確認し、さらに国造焼への理解を深めていきましょう。
山本浩彩さんの作品
三代目である山本浩彩さんが作り出す作品は、前述のように焼締めの技法によって、滑らかで美しい作品になっています。
また、山本浩彩さんの作品は数々の賞を受賞しました。
下記の作品は、日本工芸会奨励賞、鳥取県知事賞を受賞した作品です。
美しく、見る人を魅了する作品になっています。
これらの作品以外にも、焼締めの技法を用いた美しい作品が製作されていますので、そちらの方も併せて、ご確認してみてください。
山本花野子さんの作品
山本花野子さんの作品は、色合いがかわいく、ポップなデザインになっています。
ポップなデザインの他にも、実用性も兼ね揃いています。
日常で使用してみる使い方もありますが、インテリアの一つとして、置いておくのも良いでしょう。
引用:SHIMATORI
山本佳靖さんの作品
山本佳靖さんの作品には、シンプルさの中に洗練された技術が詰まっています。
シンプルで、手に取りやすいのが佳靖さんの作品の特徴です。
しかし、このシンプルさの中には高度で精密な技術が詰まっています。
焼締めや飛鉋。
一見シンプルに見える作品が、そのような職人の高度な技術、技法によって作り出されています。
一つのシンプルな作品に、どれだけの技術、技法が込められているか。
そのことを強く心に思わせる作品を、佳靖さんは製作されています。
引用:SHIMATORI
まとめ
今回は鳥取県が誇る国造焼の歴史と特徴をご紹介しました。
最後にここまでの内容を振り返ります。
- 国造焼の歴史
国造焼4代目の山本佳靖さんの祖父母が、鳥取県倉吉市の不入岡、上神の陶土が焼き物に適していると考えたのが、国造焼のはじまり。
移住後の1890年に開窯。
1975年に初代の秀治さんによって創始されました。 - 国造焼の特徴と技法
・貫入
・飛鉋
・焼締め - 国造焼の作品
■山本浩彩さんの作品
焼締めの技法によって、滑らかで美しい作品になっています。
■山本花野子さん
花野子さんの作品は、色合いがかわいく、ポップなデザインで、実用性も兼ね 揃えています。
■山本佳靖さん
シンプルさの中に洗練された技術が、佳靖さんの作品に詰まっています。
この記事が、国造焼への理解を深める一助になれれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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