奈良伝統工芸品の特徴
奈良伝統工芸品は平安時代からと長く受け継がれているものや、中国から技法が伝わり独自に発展したものまで、種類だけでなく幅があるのが特徴です。
また日常生活に根づいているものや、実用的で使いやすいものまで、作品が身近に感じられるのも奈良伝統工芸品の魅力です。
大掛かりだったり、手が届きにくいようなものは少なく、逆に手に取りやすく現実的に購入の検討が行える手頃さを併せ持ちます。
つまり、憧れても実際には手が届かないものだったり、遠くから眺めるだけに留まるような伝統工芸品は限られるわけです。
目で見て手で触れて実用的に使える、それこそがまさに奈良の伝統工芸品です。
それから素材の質感や素朴さが活かされていたり、派手過ぎず地味でもない、生活に馴染む良さもまた見逃せないポイントです。
土産物としても奈良の工芸品は人気がありますから、例えば手軽なサイズの工芸品であっても、贈って喜ばれたり満足感が得られるでしょう。
個性的ともいえる作品があるのも、歴史があって独自に技法が磨かれてきた奈良ならではです。
実用的な伝統工芸品はデザインがオーソドックスだったりしますが、仕上げが洗練されているので高級感だったり、所有する喜びが得られます。
しかも、使えば使うほど手に馴染み愛着が湧くので、気がつけばもう手放せないということも珍しくないです。
国指定の工芸品が3種、県指定の工芸品が17種の計20品目がありますから、興味が引かれたり自分好みの作品が見つけられるでしょう。
職人の丁寧な手作業を目の当たりにすれば、更に興味が増したり欲しくなるものもあると思われます。
歴史好きにとっても魅力的ですし、時代背景に思いを馳せれば工芸品の成り立ち、作品の理解が深まるはずです。
土産物も魅力がありますが、プロが使う道具も作り続けられているので、プロ御用達もその特徴の1つだといえます。
歴史に名前が登場する人物と関わりを持つ工芸品も存在しますから、改めて長い時間を掛けて受け継がれてきたり、技法が洗練されてきたことが窺えます。
全国的に見て生産量が多い工芸品もあることから、県指定の工芸品も含めて存在感が大きく、注目度が高くて目が離せないといえるでしょう。
奈良おすすめ伝統工芸品トップ5
高山茶筌
高山茶筌は室町時代に始まった伝統工芸品で、茶道の創始者の村田珠光に依頼されて、高山領主の子息が最初に作ったといわれています。
茶筌作りには冬に伐採された竹が用いられ、油抜きや天日乾燥などの工程を経て作られます。
大きく分けて濃茶用と薄茶用が作られていますが、室町時代当時はその製法が秘伝だったそうです。
製法は家来たちに伝えられることになり、受け継いだ家来たちがそれを守り、現代まで受け継がれています。
奈良筆
奈良筆は空海によって、9世紀に中国から持ち帰った製法を元に作られ始めた伝統工芸品です。
単一ではなく羊や馬、鹿に狸といった獣の毛が使われており、毛質に合わせて配分や寸法が決められるのが特徴です。
毛組みの練り混ぜ法が奈良筆のキモで、完成度の高い穂先と味わい深い使用感に仕上がります。
書道に向いていて子供にも使いやすいことから、学校教育に採用されたことで全国的に広まりました。
奈良墨
奈良墨は明日香の地で始まったといわれており、奈良筆のもととなる製法を持ち帰った空海により伝えられて作られ始めました。
奈良墨の製法も当時の唐から持ち帰られたものがもとで、奈良に伝わってから独自の発展を遂げることになります。
膠とすすを混ぜ合わせ、練って型入れをして成型、乾燥した後に磨いて彩色という工程を経ます。
現在は書道用の墨として約9割のシェアを有していますから、案外身近で入手性が良いといえます。
奈良一刀彫
奈良一刀彫は奈良人形として親しまれていて、桧や桂に楠といった素材の良さが感じられるのが魅力です。
製法は素材を大胆にもノミで彫るというものですが、金箔に岩絵具などを用いて極彩色が施されるのも独特です。
題材としては雛人形がポピュラーですが、他にも能楽や舞楽に十二支なども作られています。
奈良漆器
奈良漆器は螺鈿が特徴的で、夜光貝やアワビ、チョウ貝といった貝を模様の形に切って貼り付け、漆で埋めて研ぐ工程で作られます。
ベースとなるのは桧で、このような厚貝螺鈿技法で作られるものには、硯箱や宝石箱に文箱があります。
全20近い工程で仕上げられますから、気が遠くなる作業ですが、完成している作品を見れば手間暇が掛けられているのも納得です。
美しい仕上がりの為に手間を惜しまない職人の姿勢や仕事っぷりは、奈良漆器を通して確かに伝わるでしょう。
まとめ
奈良の伝統工芸品は国指定3、県指定17の全20品目で、歴史があるものが多くて実用性が高いのも魅力です。
特に空海と関係が深い奈良筆や奈良墨などは、時代を超えて今でも愛され続けていますし、書道などで実用的に活用されています。
空海が製法を持ち帰ってから実に1000年以上が経過しているわけですから、奈良の歴史と共に時間を掛けて広まり、定着したと言っても過言ではないです。
伝統工芸品なのに身近に感じられる、そういう工芸品が多いのも奈良の伝統工芸品らしいところです。