愛知伝統工芸品の特徴
愛知県は海と山に囲まれており自然の恵みを享受しながら、長きにわたり開拓されてきた歴史を持っております。日本列島のほぼ真ん中に位置しており、日本の都として知られた京都も近く文化的にも大きな影響を受け続けてまいりました。工芸品は京都から伝えられて独自の進化を続けており、現在の物作り大国愛知県の礎になっております。文明や文化のアレンジが上手で、独自の発明心を持っているのはエリアの特徴なのかもしれません。
東京都や神奈川県や大阪府に次いで日本第4位の人口750万人の都市であり、山間部や沿岸部だけではなく濃尾平野・岡崎平野・豊橋平野が集合した平地も多く存在しております。名古屋市には人口の約3割が集合して暮らしており、230万人の住民がいるのです。
山間部が多い岐阜県を北にして木曽川を境にして西に三重県、北東に長野県と東に静岡県があるロケーションになります。山々が連なっているので工芸品も木工などが盛んに行われており、優れた技術を磨いてきて食器や器など日用品や、漆を使った高級な工芸品まで幅広いことが特徴です。
愛知県は西半分に濃尾平野があり、東半分には山々が連なる美濃三河高原で構成されており、土壌が豊かで良い土が採取されることでも有名です。そのために古来から土を使って作られた焼き物の産地として発展し、武将の中には焼き物を奨励して手厚く産業開発を支援した人もいると現在まで伝えられております。良い土地の土を使い山間沿いに竈を作り工房にして、数々の焼き物の名作が作られた名産地なのです。
他にも木曽川の水を使って作られた織物や反物なども独自の進化を続けており、現在でも著名な存在になっております。夏場が暑く冬は雪が少なく空っ風が吹く性質上、発色の良い着物地が出来ると評判です。豪華絢爛な意匠を好むエリアでありながら、いぶし銀な染物もあることは質実剛健な気質を端的に現していると言えるかもしれません。
京都に近く文明の影響を受けやすかったことと、比較的に温暖なことから産業が発展したことにより伝統工芸品は数多く育ちました。現在は世界的に有名なメーカーがありますが、そうした文化も土着の土地柄が育んだ産業の1つであると言っても過言ではないかもしれません。
愛知おすすめ伝統工芸品トップ5
愛知県は数々の伝統工芸がありますが、温暖な土地柄と文化の発祥地である京都が近かったことから産業の発展をする背景がありました。また平野と山間部のバランスが良く、良い土が算出したために一大焼き物産地として成長してきており、数々の名窯があったことでも有名です。
常滑焼
常滑焼は平安時代末期頃に誕生したと推測されており、安土桃山時代には日常的な食器から当時武家の嗜みであった茶器まで幅広く作る工房でした。近代では下水道で使うタイルや土管なども手掛け、日本の近代化に貢献したことで知られております。粘り気がある細かい粒子を形成して作り、大小さまざまな製品が残されており、常滑焼は主原料になる土が鉄分を多く含んでいるために地肌が赤く焼きあがることが特徴です。
赤津焼
2番目に紹介するのが赤津焼になります。奈良時代から続く伝統の焼き物で、周囲の名窯の中でも歴史が古いことが特徴です。釉薬を上手に使ってアレンジされている意匠は、表面硬度を上げて使いやすくすると同時に独自のエナメル質が高いデザイン性を持っております。安土桃山時代を迎えると表現力の幅が広がり、茶道の影響もあって技術的に大きな変化を迎えました。織部や志野などの技法を確立しながら進化を続け、江戸時代には尾張徳川家の御用窯として活躍したのです。
瀬戸染付焼
3番目に紹介するのは瀬戸染付焼であります。古くから陶芸が盛んに行われてきた瀬戸エリアは、日本で初めて釉薬を使って焼き上げた磁器として有名です。当初は飾り気のない土色に釉薬をかけただけでしたが、後に京焼や大津絵などの影響を受けて作図をされて絵皿を製作するようになってゆきました。絵付けをして釉薬をかけることでデザインが安定し、耐久性も向上したのです。染付焼の元祖と言われております。
名古屋友禅
4番目に紹介するのは焼き物ではなく、名古屋友禅という反物です。尾張徳川家藩主である徳川宗春が、地域振興のための産業開発を推進して消費文化が花開いたことをきっかけに勇躍した反物です。京都や江戸から伝わった友禅を参考にして現在の愛知で研究開発が行われ、独自の色数を抑えた名古屋友禅が誕生しました。
有松鳴海絞
最後に紹介するのは有松鳴海絞です。手蜘蛛絞や三浦絞や巻上絞などの搾り模様と、藍染を組み合わせたシンプルで奥深い表情の反物になります。慶長年間より製造され続け職人から町人まで、幅広く愛好された一着です。
まとめ
愛知県は古くから京都に近く、平野と山間部と海に恵まれて独自の進化を続けてきました。伝統産業は物作りに熱心な土地柄を背景にして数々生み出され、時の武将たちにも後押しを受けてきたのです。
尾張徳川家では産業開発に熱心であり、物作りを推奨しました。現在でも伝統工芸は焼き物から反物まで幅広く、伝統の良さを現在に伝えている名品が揃っております。また山間部が近く材木に恵まれており、木工品に優れているのも愛知県の特徴です。